商社機能と人間力で、
全日空商事を「宇宙に強い総合商社」へ
PROFILE
清水 隆裕
宇宙ビジネス開発室付 ANAホールディングス グループ経営戦略室 事業推進部 宇宙事業チーム 出向
総合職
国際学部卒
2019年新卒入社
2019年入社。国内エアライン向け航空機整備器材の調達業務を経て、ANAホールディングスが主導していた「航空機を用いた日本発の小型人工衛星打上げプロジェクト」に参画。現在は同社へ出向し、ANAグループ全体の宇宙事業戦略の企画・立案業務に携わる。商社パーソンとして心掛けているのは、「自分だからこそできる提案」を形にし続けること。
SUMMARY
- 商社の価値は「人」で決まる。先輩の「人間力」に惹かれ入社を決意
- 航空機整備器材の調達業務から、世界が注目を集める「日本発の小型人工衛星打上げプロジェクト」に参画へ
- 顧客との対話で気づいた、商社機能の重要性
- 人工衛星打上げプロジェクト中止という危機を乗り越え、全日空商事として初の「宇宙商材」の売上を実現
- 宇宙事業を全日空商事の次代を担う中核事業に押し上げたい
入社動機
どんな困難も乗り越えられる。
先輩の「人間力」がそう思わせてくれた
商社の価値は「人」で決まる。自社商材を持たない商社において、付加価値を生むのは「人」が仕事に込める想いそのもの。そう信じていた私は、就職活動で30人を超える商社パーソンと対話を重ねました。
中でも、全日空商事の先輩が見せてくれた誠実さは圧倒的でした。自社の紹介に留まらず、私のキャリアを自分のこととして捉え、本音で向き合ってくれる。その熱意に触れ、「困難な仕事さえも、この人たちとなら乗り越えられる」と確信しました。「将来は私も、誰かのためにここまで真剣になれる人になりたい」。その決意が、私の入社の決め手となりました。
キャリアの変遷
「航空」商材から「宇宙」商材へ
人工衛星の打上げプロジェクトへの
参画が転機に
私のキャリアは、アビエーション事業部から始まりました。国内エアライン向けの航空機整備器材の調達を通じてビジネスの基礎を学んだほか、ANAとのエンジンスタンド共同開発など、通常のルーティン業務を超えた実りある2年半を過ごしました。
大きな転機は入社3年目の秋。ANAホールディングスが主導する、米国Virgin Orbit社との「航空機を用いた日本発の小型人工衛星打上げプロジェクト」への参画です。改造したジャンボジェット機(Boeing747-400型機)から高度約10kmでロケットを切り離し打上げるという、前例のない挑戦でした。
法整備や運用体制の構築、国・自治体との連携、そして顧客である衛星事業者への営業。毎日が初めてのことばかりで、まさに悪戦苦闘の連続でした。しかし、顧客との信頼関係を一から築き、「ゼロから事業を創り上げる」という商社パーソンに不可欠な経験を積めたことは、何物にも代えがたい財産です。心からやりがいを感じ、自分自身の飛躍的な成長を実感できた時間でした。
宇宙イベントの展示会出展に向け、大分県庁より調達依頼があったVirgin Orbit社のモデルプレーン(Boeing747-400型機)を海外製造会社から製品受領、検品作業した時の様子
ある日の仕事の流れ
-
8:30
出社
メールのチェック、本日のスケジュール確認。打ち合わせの事前準備
-
10:00
打ち合わせ
プロジェクトや個別案件の進捗管理、TODO整理と振り返り
-
12:00
ランチ
-
13:00
戦略資料作成
宇宙事業に関する戦略資料や提案書の作成
-
15:30
打ち合わせ(外出)
宇宙の取り組み紹介、意見交換など
-
17:00
帰社
打ち合わせのデブリーフィング、提案資料作成
-
19:00
退社
ある日のお休み
会社の先輩・後輩と
ゴルフを楽しんでいます!
年に数回、ゴルフ部のメンバーとラウンドを回っています。先輩・後輩とはプライベートでもよく会う仲で、先日は合宿で福島にも行きました!
宇宙事業での気づき
顧客との対話で気づいたことは、
宇宙産業でも商社機能を活かせる
ということ
プロジェクト参画当初は「人工衛星とは何か」を学ぶことから始まり、衛星事業者との商談でも何を話すべきか手探りの状態でした。宇宙という未知の領域でのアプローチは容易ではなく、試行錯誤の連続だったのです。
しかし、顧客と対話を重ねる中で分かったことがあります。それは、彼らが人工衛星を製造・打上げる「目的」は、宇宙空間からの観測や測位、通信機能を活かしたサービスの提供であり、人工衛星の製造やロケットの打上げ調整といったサプライチェーンはあくまでそれらのサービスを実現するための「手段」に過ぎないということです。
現在、宇宙産業におけるサプライチェーンには多くの課題が山積しています。そこに商社機能を持って介入し、課題を解決していくことこそが私たちの役割であり、それが介在価値になる。顧客の課題をいち早く見つけ出し、ソリューションを提供する。宇宙産業もまた、他産業と同様に商社機能を十分に発揮できる領域であると確信しました。
印象に残っている仕事
宇宙事業の必要性を、
結果で示さなくては。
危機を乗り越え、会社初の売上を計上
2023年、Virgin Orbit社の経営破綻によりプロジェクトが突如頓挫しました。この出来事はANAグループの宇宙事業全体に衝撃を与え、一時は宇宙プロジェクト撤退も危ぶまれるほどの危機的状況に直面しました。
「宇宙ビジネス開発という希望の炎を、絶やすことなく灯し続けなければならない」——。メンバー全員が再起を誓う中、私は自らの役割を「経営層に対し、宇宙ビジネスの可能性を定量的な結果で示すこと」と定めました。新たな糸口を求めて顧客への徹底的なヒアリングを重ねる中で、ある衛星部品ベンチャー企業が抱える「特殊な仕様に合う部品が見つからない」という切実な悩みに出会ったのです。
私はすぐさま独自のネットワークを駆使して供給先を探索。要望に合致するメーカーを見つけ出し、ソリューションとして提案した結果、無事に採択をいただくことができました。これが、全日空商事にとって初の「宇宙関連商材」による売上計上となったのです。
この時、売上額の多寡よりも重要だったのは、「宇宙」という新領域においても、航空領域で培ってきた商社機能が通用するという確かな手応えを得られたこと。それが、何よりも嬉しかったですし、「宇宙」にはまだチャンスがあることを結果で証明でき、次に進むべきANAグループとしての宇宙戦略的指針を微力ながらチームや経営層に示すことができたと思っています。
今後の目標
50年の歴史を背負い、
次の50年を創る「宇宙の総合商社」へ
入社7年目の現在は、ANAホールディングスに出向し、グループ全体の宇宙事業戦略を描く「ハブ」の役割を担っています。ANAグループのアセットを最大限に活かし、全体最適の視点から各社の事業推進に貢献する。それが今の私のミッションです。
現在の宇宙産業は、まさに「フロンティア」。日本政府が10年間で1兆円規模の「宇宙戦略基金」を創設するなど、大きな可能性に満ちています。その中で、全日空商事は、事業投資のような資本投下だけではなく、現場に寄り添い、顧客目線を追求するソリューション提供にも勝ち筋があると考えています。泥臭く課題に向き合うその姿勢は、入社の決め手にもなった「人間力」に裏打ちされた、私たち独自の戦い方だと思っています。
航空領域で先輩の方々が築いた50年の地位に続き、これからの50年は宇宙という未開拓の領域で確固たるポジションを築き、中核事業へと育てたい。全日空商事を「宇宙の総合商社」へと押し上げること。そして、私たちの挑戦を見た未来の後輩たちが「この会社で働きたい」と思える道を切り拓くこと。それが、フロンティアに立つ私の使命だと思っています。